
神秘的な鰻釣りに挑戦してみよう!
夏の夜、涼しい川辺で楽しむ「鰻(うなぎ)釣り」をご存知でしょうか?蒲焼や鰻重など、食卓ではおなじみの鰻ですが、自分で釣って味わう鰻は格別です。
鰻釣りは、他の魚釣りとは少し趣が異なります。夜行性の鰻を狙うため、昼間の喧騒が嘘のように静まり返った水辺で、竿先から伝わる独特の重い引きを待つ。その静寂の中での駆け引きは、一度体験すると忘れられない魅力があります。
「夜釣りは少し怖いな」「どんな道具を揃えたらいいか分からない」といった方も安心してください。この記事では、初心者の方でも安全に、そして確実に鰻を釣るための基本的な知識を、ゼロから徹底的に解説していきます。
鰻釣りとは?その魅力と基本的な仕組み

鰻釣りは、夜行性の鰻の習性を利用したシンプルな釣り方です。まずはその魅力と、釣りの基本的な流れを理解しましょう。
鰻釣りの魅力
鰻釣りには、他の釣りとは違う独特な魅力が詰まっています。
- 静寂の中の駆け引き: 鰻が活発に動き出すのは日没後。夜の川や海で、静かにアタリを待つ時間は、日常の喧騒を忘れさせてくれます。竿先をじっと見つめ、微かな動きに集中する静かな時間が醍醐味です。
- 独特な引きと感触: 鰻は強力な力でグイグイと引き込むのが特徴です。その引きは、他の魚とは明らかに違う重みと力強さがあり、釣り上げた時の達成感はひとしおです。釣り上げた後のヌルヌルとした独特な感触も、鰻釣りならではの魅力でしょう。
- 自分で釣った鰻は格別の味: 鰻釣りの最大の魅力は、なんといっても自分で釣った鰻を味わえることです。新鮮な鰻を自分で捌き、蒲焼や白焼きにして食べれば、その苦労が報われる至福のひとときを体験できます。
- 手軽に始められる: 鰻釣りに必要な道具は比較的シンプルで、専門的な技術もそれほど必要ありません。初心者でも始めやすく、近所の川や海でも楽しめる手軽さも魅力の一つです。
基本的な仕組み
鰻釣りは、エサ釣りが基本となります。大きく分けて以下の流れで進めます。
- エサの準備: 鰻は雑食性で動物性のエサを好むため、ミミズやドジョウ、アケミ貝などをエサとして用意します。
- 仕掛けを投入: 竿にリールと仕掛けをセットし、エサを付けた針を川や海の底に沈めます。
- アタリを待つ: 鰻がエサに食いつくまで、じっと待ちます。竿先が細かく震えたり、グイッと引き込まれたりするアタリを待ちます。
- アワセと取り込み: アタリがあったら、竿を素早く大きく立てて針をしっかりと鰻の口に掛けます(アワセ)。その後、竿の弾力を利用して手元まで引き寄せ、フィッシュグリップやタオルなどで掴んで取り込みます。
- キープ: 釣り上げた鰻は、ヌメリが強いため、タオルなどで掴んで針を外し、バケツなどに入れてキープします。
鰻釣りに必要な道具を揃えよう!

鰻釣りを始めるには、いくつかの専用の道具が必要です。ここでは、初心者の方が必要最低限揃えるべき道具と、それぞれの役割を解説します。
1. 鰻釣り用の竿とリール
- 竿(ロッド): 鰻は力が強いため、ある程度の硬さがある竿が必要です。長さは2〜3m程度のものが扱いやすいでしょう。磯竿や投げ竿の3号〜5号、ルアーロッドのMH〜Hクラスなどがおすすめです。
- リール: 道糸を巻くためのリールは、2500〜4000番程度のスピニングリールが一般的です。竿とのバランスを見て選びましょう。
2. 仕掛け
鰻釣り用の仕掛けは、釣具店で手軽に購入できる「鰻釣り用仕掛けセット」が便利です。
- 道糸(みちいと): 竿のリールに巻くメインの糸。ナイロンラインの3〜5号が一般的です。
- オモリ: 仕掛けを底に沈めるための重り。釣る場所の水深や流れの速さに合わせて、5〜20号程度のものを用意しておくと良いでしょう。
- ハリス: 針と道糸をつなぐ糸。道糸よりも少し細いナイロンやフロロカーボンラインを使います。
- 針: 鰻を釣るための専用の針。鰻は口が硬いため、しっかりと刺さる太軸の針を選びましょう。
3. その他あると便利な道具
- フィッシュグリップまたはタオル: 鰻はヌルヌルして掴みにくいため、フィッシュグリップやタオルは必須アイテムです。
- ヘッドライト: 夜釣りが基本となるため、手元を照らすヘッドライトは安全のためにも必ず用意しましょう。
- エサ箱: ミミズなどを入れておくための容器。
- ハサミ、プライヤー: 糸を切ったり、針を外したりするのに使います。
- バケツ: 釣り上げた鰻を活かしておくための容器。
- 椅子: 長時間アタリを待つことになるため、折りたたみ式の椅子があると快適に過ごせます。
- 虫よけスプレー: 夜の水辺は蚊などの虫が多いため、対策は必須です。
これらの道具を揃えることで、快適に鰻釣りを楽しむことができます。最初は全てを最高級品で揃える必要はありません。まずは基本的な道具を揃え、釣具店の店員さんに相談しながら、自分に合ったものを見つけていくのが良いでしょう。
鰻の釣り方とコツ
いよいよ実践です。鰻釣りの基本的な釣り方と、釣果を上げるためのコツを解説します。
1. ポイントの選び方
鰻は、川や海の底に潜んでいることが多いため、ポイント選びが重要です。
- 川: 流れが緩やかな淀み、岸際にあるヘドロや泥が溜まっている場所、護岸の隙間やテトラポッドの陰などが狙い目です。
- 海: 河口域、泥底の港湾部、潮通しの良い堤防の際などがおすすめです。
2. エサの付け方
エサは、ミミズ(特に太いドバミミズ)、ドジョウ、テナガエビなどが効果的です。
- ミミズ: ミミズは針を複数回通して、ちぎれないように付けましょう。垂らしを長めにして、ミミズが動くようにするのがポイントです。
- ドジョウ: ドジョウは弱りにくく、鰻へのアピール力も高いため人気のエサです。針は口から通して、肛門あたりから出すように付けましょう。
3. 釣り方とアタリの取り方
鰻釣りは、基本的に「置き竿」でアタリを待ちます。
- 仕掛けを投げる: エサを付けた仕掛けを、狙ったポイントに投げ込みます。
- 竿を立てて待つ: 仕掛けが着底したら、竿を竿掛けに置くか、地面に立てかけてアタリを待ちます。この時、糸を少し緩めておくと、鰻がエサを食い込みやすくなります。
- アタリを待つ: 鰻のアタリは、最初は竿先が小刻みに震えるような小さなアタリが続き、その後「グイッ」と大きく引き込まれることが多いです。焦らず、大きく引き込まれるまで待ちましょう。
- アワセ: 大きく引き込まれたら、竿を大きく立てて力強くアワセます。しっかりと針を掛けることが重要です。
鰻釣りの後の処理

自分で釣った鰻を美味しく食べるためには、釣り上げた後の処理が大切です。
1. 活かし方
釣り上げた鰻は、水を入れたバケツに入れておきます。この時、蓋をしておかないと逃げ出してしまうため注意が必要です。数日間活かしておくと、泥臭さが抜けて美味しくなります。
2. 捌き方
鰻を捌くのは、慣れないうちは難しいかもしれません。しかし、ポイントを押さえれば家庭でも可能です。
- シメる: 釣り上げた鰻は氷水でシメて動きを止めます。
- 開く: 釘などで頭を固定し、背開きまたは腹開きにします。
- 血抜きと洗浄: 内臓を取り、身を綺麗に洗って血抜きをします。
鰻を捌くには「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」という言葉があるように、非常に奥が深いものです。最初は難しく感じるかもしれませんが、家庭で楽しむ分には、焦らずゆっくりと挑戦してみてください。初めての挑戦でも、自分で釣った鰻をさばく経験はきっと良い思い出になるはずです。
最近では、鰻を捌いてくれる専門の業者や釣具店もあるため、最初は利用するのも良いでしょう。
鰻釣りで最高の夜を!

鰻釣りは、他の釣りでは味わえない独特の魅力に満ちた釣りです。静かな夜の川辺で、竿先から伝わる生命の息吹に耳を澄ませる時間は、きっとあなたにとって特別な思い出となるでしょう。
今回ご紹介した基本的な知識と道具、釣り方のコツを参考に、ぜひ鰻釣りに挑戦してみてください。自分で釣った鰻を囲んで、最高の夜を過ごしてくださいね!